TIGTのまぼろめし

身近にある食材で料理をします。

とんかつ屋さんに行った話

 

 

こんにちは、TIGTです。

 

本日、とんかつ屋さんで昼食を頂きました。

 

 

伝統のある建物らしく、全体的に落ち着いた上品な雰囲気のお店でした。

 

入店すると小気味よい鈴の音と共に何人かの店主が出迎えてくれ、

そのまま大きな円形のテーブルまでエスコートしてもらいました。

 

席には木の間仕切りがされており、テーブルは分厚い海洋プレートでできた重厚感のあるものでした。

 

僕が席につくと大陸プレートの椅子が机の下に沈み込んで大きく揺れました。

 

円卓の奥には白髪のマダムと思しき方がお食事をされているのが見えましたが、

ちょうど間仕切りによって顔までは見えないようになっていました。

計算された粋な仕組みです。

 

マダムは机の揺れにも動じず食事を楽しまれているようでしたが、机の下を見ると全く同じ姿のマダムがもう1人、小さくなって震えておりました。

避難をマダム2に任せていらしたようです。

 

そうこうしているうちに霧でできたメニューを渡され、読み終わるよりも早く消え去ってしまいました。そして霧が晴れるとそこにロースカツ丼とお味噌汁が置かれておりました。

 

26人の店主が口を揃えて

「本日、私どもの気まぐれで量を多くさせて頂いております。また大変お熱くなっておりますのでお気を付けてお召し上がりください」

と言って奥へと消えていきました。

 

 

手を合わせると僕はさっそく丼に箸を入れ、たくさんのご飯と一切れのカツを頬張りました。

 

するとどうでしょう。驚くべきことに、カツが熱いのです。不測の事態に僕は気が動転して悶絶しました。

しかし静かな店内、同じテーブルにはお食事中のマダムがいらっしゃるので声を上げるわけにはいきません。お店の人が心配もするでしょう。

 

僕は必死に声を抑えました。しかしその間も咀嚼は止まらず、熱々のご飯をかき込む箸も進み続けます。僕は堪らず「ォ、、」と小さく呻いてしまいました。

 

 

やっとのことで一口飲み込んだ後、僕の頭は急に冷静になりました。

 

しまった……完全にやってしまった……マダムの気に障っていないか不安になった僕はその場で

「ご不快でしたよね、すみません」とマダムに謝罪しました。

すると、

 

「カツを食らうに作法も無かろう。ただ屠(ほふ)るのみ」

 

とドスの効いた野太い声で味噌汁が言いました。

 

僕はギョッとして、そのまま味噌汁を飲み干してしまいました。

赤味噌の深みある味わいが非常においしかったです。

 

 

そんなこんなでカツ丼のほとんどを食べ尽くし、あとはカツ一切れといくらかのご飯となったあたりで僕は気付きました。

 

量が多いのです。

 

僕は年齢の割に少食な方なのでこの量を味噌汁無しでたいらげるのは骨が折れると思いました。しかしこの店内の雰囲気、飛び込みで入った僕が残すことを許してくれるとは思いません。

 

現に壁には「残すれば 陀仏になるが 人の咎」と大きく彫ってありました。

 

これは腹を括るしかないと思った僕は、腹を括りました。

すると、括った分のお腹が空いたので残りのカツ丼を余裕で食べることができました。

うれしかったです。

 

 

お会計の際に伝票を普通に席に忘れてしまいましたが、なんとかランチを終えることができました。

あとマダムはよく見たらおじさんでした。

 

 

 

なんとなく写真を載せると名誉的な問題がありそうなので今回はありません。

 

 

f:id:TIGT:20210304121639j:image代わりにボーちゃんみたいなこけしを置いておきます。

 

 

 

それでは、おやすみなさい。